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Channel: Food Watch Japan »岡本信一
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農産物を評価するには実態を知る必要がある

かつてないほど、農産物の安全性が注目されるようになってきた。口にする食品であるから安全性が大事であるのは当然のことだが、農産物ほどさまざまな観点から安全性が注目されているものはないだろう。 需要の現場に生産の現場の情報が不足している...

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安全と断定できない新幹線を利用するのはなぜか

それにつけても、“安全”というテーマは書きにくいものだ。まず第一に、安全という概念を説明するのが難しい。  安全とはいったい何か?  農産物の安全性について考える前に、安全ということについて、ちょっと考えてみたい。 新幹線は安全な乗り物か?  実は、「安全」と言い切ることは不可能というほど難しい。たとえば、「新幹線は安全な乗り物だ」と言えるだろうか?...

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時代によって変わった“安全”の中身

前回の、利益(ベネフィット)と危険性(リスク)を秤にかけて考えるということは、もちろん交通機関だけの話ではない。危険性を最少にするという努力こそ、あらゆるリスク管理に通じる対応だと言うことができる。 安全でなければ危険ということではない “安全ではない”=“危険で利用できない”ということにはならないのだ。「誰も安全と言い切ってくれないから危険」ということにもならない。...

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有機農業を理解するには農薬と化学肥料を理解する必要がある

現在、安全や安心な農産物と言った場合、多くの人がイメージするのは、“科学技術に頼らない”有機栽培などの栽培方法を行なっている農産物ということになるだろう。では、有機農産物は実際に安全・安心で栄養価が高いと言えるだろうか。 化学農業時代が有機栽培を生んだ  それを考える前に、まず有機栽培とは何かということを押さえておきたい。...

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有機栽培は作物の安全・安心のためではなかった

農薬にはどのような危険があるだろうか。また、どの程度危険なものなのだろうか。これはものによって一様ではなく、時代によっても異なる。たとえば、化学合成農薬の中でも、かつて販売されていたり広範に使用されていたものには、かなり危険なものがあったが、今日流通している農薬は、それらとはまた事情が異なる。 農薬の急性毒性・残留性・催奇性...

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化学肥料の問題点は“依存”にある

先に、化学肥料を与えるだけの栽培を続けていると、農産物を生産する畑としての機能を失ってしまうと書いた。そのメカニズムをもう少し詳しく見ておく。 化学肥料自体に問題はなく化学肥料依存が問題...

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50年前の考え方で今日の農薬を評価することはできない

消費者の間ではよく理解されていないが、農薬はこの50年あまりの間に大きな変化を遂げている。「沈黙の春」(レイチェル・カーソン)が発表された1960年代から「複合汚染」(有吉佐和子)が発表された1970年代の農薬と、今日の農薬とを同じように考えることには無理がある。 現在の農薬は危険性がコントロールされている...

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絶対的な評価を下したい心を警戒する

ところが、人はわかりやすい一般的な解決策を求めたがるものだし、どこかに何にでも効く万能薬があると信じたがる傾向がある。それで、栽培の勉強会で最も多く質問されるのがこの質問である――「何かよい肥料/農薬はないですか?」  この質問の意味は、「効果が高く、安くて、副作用がない肥料/農薬はないか」ということだ。...

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「240万件のうち65件に残留」をどう評価するか

現在日本で市販されている農薬は、使用量、使用回数、使用方法、収穫までの日数による制限など、使用に際してのさまざまな事柄が細かく定められている。1作の中で定められた使用回数を超えて使用してはならないし、収穫日に近い日に使用する場合も、収穫までの日数によって使用できるか、できないかの制限がある。これら使用基準を守っていれば、残留基準を超えないという基準である。 農薬の残留基準は個別に厳密に定められている...

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市販農産物による健康被害の可能性は低い

また、残留農薬の基準を超えていると聞くと、あたかも農薬がベットリと付着しているイメージを抱くかもしれないが、そのイメージは修正する必要があるだろう。ポジティブリストに入っていない農薬の残留基準は一律に0.01ppmである。1ppmというのは100万分の1ということだから、0.01ppmとは1億分の1ということだ。...

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特定農薬に指定されていない木酢液

リスクの考え方、農薬の一般的な説明と現在の日本の農産物の残留農薬の状況について説明してきたが、これらを危険・安全どちらと考えるか、仕事や生活に受け容れるかどうかの判断は、新幹線を利用するか利用しないかを考えるのと同じように(第2回参照)読者一人ひとりに委ねられている。 “農薬ならぬ農薬”木酢液をどう考えるか...

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「天然物なら安全」と考えるのは誤り

さて、木酢液の使用や流通は、上記のように条件付きながら法令上は問題ないのだとして、では、これを現実の安全性で考えた場合はどうなのだろうか。 登録農薬よりも安全とは考えられない  筆者の考えとしては、木酢液を食用・食品原料となる農産物に使用することには疑問がある。少なくとも、収穫物に直接散布するようなことは、避けたほうがよいと考えている。...

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化学肥料を使う農産物の安全性

次に化学肥料について、農産物に与える影響について書いてみよう。 化学肥料を使っても植物が吸収するものは同じ  まず、第一に押さえておきたいのは、化学肥料を使用したからといって、農産物が人体に危険を及ぼすようになるような心配は全くないということだ。土壌中にある栄養分が天然由来や堆肥等であろうと、化学肥料であろうと、植物がある成分を吸収した場合、植物の体に入る成分は同じものであるということだ。...

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硝酸態窒素が増える問題の本質

さて、硝酸態窒素が人体の中でどのように亜硝酸に変化するのかがわかってきたのは、ここ20年ほどのことのようである。硝酸態窒素は問題であるとして取り上げられるようになった1940年代には、はっきりとわかっていなかったらしい。 硝酸態窒素の危険性についての学界の評価  この最近の研究成果や硝酸態窒素の危険性について詳細に書かれている書籍があるので、興味のある方は読んでいただきたい。...

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堆肥を使えばよいというものではない

多くの方は、栽培の現場に行って土壌に堆肥を投入しているのを見たり聞いたりすると、「土作りを一生懸命行なっている」と受け取って感心する。“堆肥を使う=よいこと”と手放しで評価する向きも多い。 堆肥を使うと窒素過剰になりやすい...

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窒素過剰は堆肥・化学肥料共通の問題

先にも説明したように、堆肥というものは一様ではない。材料も、醗酵の程度もさまざまである。そこで注意すべきは、未醗酵すなわち未熟な堆肥が完熟堆肥と同じように扱われている現場が非常に多いという点だ。未熟な堆肥は窒素量も多い上に、即効的に窒素が効くので、窒素過多による障害も起こりやすい。 未熟堆肥には衛生上の問題もある...

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東京電力福島第一原子力発電所事故以降の農産物は安心と言えるのか

ここまで安全な農産物に関連する事柄をいろいろと書いてきたが、現在の日本では放射能の問題を避けて通ることはできない。放射能は、農薬の問題以上に不安をかき立てているだろう。これについて筆者の考えを述べたい。最初に結論を書いてしまうと、現在日本国内に流通している農産物は、この点でも非常に危険が少ないと考えている。 基準値引き上げは放射能汚染がひどいからか...

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放射性カリウムによる内部被曝から基準値のレベルを考える

植物の3大栄養素の一つであり、人間にとっても必須の栄養素であるカリウム。これに含まれる放射性カリウムをどう考えるか。以下は、以前筆者のブログに書いたものを一部修正したものだ。Bq、Sv等の単位は前回末尾の註を参照されたい。 ヒトの体内の放射性カリウム...

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食品中の放射性物質は新基準値なら安全と言えるか

さて、国の定める基準値内のものでも不安だという声はよく聞くところだが、これがどの程度のものなのか見ておこう。 “年間1mSv”を超えると危険なのか...

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おいしい農産物が出来る条件

これまで農産物の安全性について書いてきたが、次に農産物の品質について考えてみよう。農産物の宣伝文句でよくあるのは、「おいしい」「本物」「栄養価が高い」などだ。まずは、「おいしい」ということについて考えみよう。 おいしいかどうかは食べる人が決めるもの...

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農産物の品質を客観的に表現できないか

おいしい農産物の基本的な条件として、とくに(1)栽培に適した地域・条件で作られていること、(2)旬のもの、(3)新鮮なもの、(4)品種の特徴としてうまい、(5)栽培方法がよいを挙げた。そして、(5)があったとしても、本来最重要である(1)~(4)が満たされなければ、おいしいものは提供できないと書いた。 味のよさを客観的に伝える試み...

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農産物の品質の適正な表示を考える

作物の栄養について書いたが、有機栽培のものが優れているという表示や広告には注意が必要だ。 有機栽培と慣行栽培で栄養価の違いはない...

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栽培方法の基準だけで品質はコントロールできない

堆肥舎(記事とは直接関係ありません) 前章では、作物の品質を決める要因として、栽培に適した地域・条件、旬、鮮度品種がとくに重要なものとして挙げ、栽培方法による違いはあまりないといったことを述べた。以下ではもう少し踏み込んだ解説を行いたい。 レシピだけで料理の善し悪しは決まらない...

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重要なのは栽培管理であり有機栽培か否かではない

管理機の一つ(記事とは直接関係ありません) 有機栽培でも一般の栽培(いわゆる慣行栽培)でも、栽培の管理がうまい人の農産物は比較的おいしいし、おそらく栄養面でも良好となる傾向があるはずだ。 有機栽培と慣行栽培は対立概念ではない...

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根の張りと窒素の量が決め手となる

根の張りを振り返る農家(記事とは直接関係ありません) 生長のステージの移り変わりがうまくいくように、作物の健康状態も見きわめて対応する。そうした管理が重要であるということは、有機栽培であろうと慣行栽培であろうと同じことだ。この栄養の移り変わりが上手くいけば、良質のものが出来やすくなる。 肥料を効かせるタイミングが重要...

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一般の窒素肥料の与え方は間違っている

水田の追肥作業(記事とは直接関係ありません) ここまで作物の生理について説明してきた。ここまでのことを理解していただければ、植物が健康である状態を理解しやすくなる。植物にとって重要なことは、根の張りと、土壌中の窒素の量が多いか少ないかの2点であり、有機栽培であろうと慣行栽培であろうと、この2点さえ押さえれば作物の健康状態を崩す心配はかなり抑えることができる。 発芽期に窒素肥料を与えるのは誤り...

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有機農産物流通の正常化と有機生産者の憂鬱

糖度計(記事とは直接関係ありません) 要するに「いいものが出来る」ということは、作物が健康に育つということだ。健康に育てば、作物の体はしっかりとして、糖度も適度に上がり、しかも病気になりにくい。それを実現するのが、適切な栄養バランスだ。栄養バランスにおかしな偏りがなければ植物は健康に育ちやすいし、逆に栄養バランスがおかしな状態であれば、植物は健康に育たない。 消費者の思い込みが“有機信仰”を助長...

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農産物マーケティングで使われる言葉の意味を考える

馬鈴薯の収穫(記事とは直接関係ありません) 農産物の表示・広告宣伝について、第22回では、安全、おいしさ、栄養に関するものについては考察した。それらとはまた違う種類の表示・広告宣伝について、筆者が疑問を感じているものについて説明する。 それは敢えて言うべきことなのか...

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万能の資材・万能の方法というものはない

管理機の一つ(記事とは直接関係ありません) 前回、微生物資材を田畑に入れたからといって、必ず土壌が改善されるわけではないと指摘したが、これは微生物資材だけではなく、あらゆる農業関連資材について言えることだ。その土地、条件に合致するものであれば効果があるし、合致しなければ効果はない。 「これを使えば大丈夫」はない...

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栽培方法などの表示・宣伝に頼らず自分の舌で判断する

糖度計(記事とは直接関係ありません) 作物が健康に育つかどうか、そしてよいものが出来るかどうかは、個々の田畑の条件や、生産している人の管理の上手下手で決まる。有機栽培か慣行栽培か「○○農法」かによる違いよりも、どの田や畑で誰が作ったものかによる違いのほうがはるかに大きい。どの栽培方法を採っている場合でも、出来上がる作物の品質が安定して高い人とそうでない人がいるのである。 宣伝文句を鵜呑みにしない...

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農業生産と環境負荷/農薬・化学肥料が多い日本農業

水田の追肥作業(記事とは直接関係ありません) 農薬や化学肥料の使用量が日本では多いという指摘は少なくない。筆者もそう見ている。日本で農薬や化学肥料の使用量が多くなる理由はいくつかあるが、温帯モンスーン気候による影響は非常に大きい。 有機栽培推進よりも慣行栽培の高度化を...

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農業生産と環境負荷/ハイブリッド品種は罪か?

試験圃場(記事とは直接関係ありません) 農業生産と環境への負荷について、次にハイブリッド品種(F1、一代雑種)について考えよう。最近、これの使用を問題視する論を目にするが、実際のところどうだろうか。 ハイブリッド品種とは何か?...

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農業生産と環境負荷/遺伝子組換え作物のメリットと安全性

遺伝子組換えトウモロコシ(左)と非組換えトウモロコシ(記事とは直接関係ありません)...

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農業そのものが最大の環境破壊産業である

北海道の自然と農村(記事とは直接関係ありません) 農業生産と環境への負荷について、もう一つあまり知られていない環境問題に触れておきたい。日本ではほとんど話題にならないが、農業に関する最大の環境問題であり、筆者は地球温暖化よりもはるかに大きな問題になると考えている。 農業が土地から土壌を失わせる...

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日本の農業技術は国際的に低レベル

ここからは、現在の日本の農産物の抱える問題と今後の課題について考えていく。生産、販売・流通、そして食べること、これらについて順番に書いていきたい。なお、前回までは主に需用者(食品工業、外食産業、消費者)向けと意識して書いてきたが、今回からは生産者への提言を含んでいる。 国産レタスはアメリカ産より品質が悪い...

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日本農業はユーザー無視の歪んだ農業

日本の農業は、とくに加工用の野菜生産に弱い。多くの方は、加工野菜というのは“B品”であろうと勘違いしているようだが、実は加工用のほうが品質の要求基準が高く、難しい。とくに、品質が均一であることが求められるのだが、前回説明したように日本の農業の現場には気候的、土壌的に均一化を阻む壁があるために難しい。 品質を語るには品質の均一化が大前提...

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「昔の野菜はよかった」は誤った努力の元凶

それでは、農産物の品質とは何か、何がどうあるべきかについて考えたい。 「おいしい」は農家が信じているだけ  農産物の品質と言ったとき、生産サイドが重視しているのは、“おいしさ”である。まじめな生産者であれば、まずいものを作りたいとは考えていないはずで、多くの生産者は異口同音に「おいしいものを作りたい」と言う。...

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生産者は需用者が求める品質と安全を直視せよ

前回は「日本食品標準成分表」の読み違えによって、生産者が農産物の栄養価を上げるために誤った努力をしているケースが多いと書いた。では、農産物の栄養価を適正にするために、本来はどのような努力をすればいいのだろうか。 栄養のある野菜作りは生産者の技術力による  その基本は、第20回「おいしい農産物が出来る条件」で書いた4点が、出来た農産物の栄養価についても当てはめて考えることができるだろう。...

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「栄養価が高い」「安全」を言うには根拠が必要だ

よい商品とは何かということを考えたとき、他産業での答えは明確だ。売れるもの、したがってニーズがあるもの、つまり「お客様が求めるもの」が、よい商品だ。よい農産物とは何かということも、本来こうした当たり前のことで考えればいいはずである。 気安く安全を語る安全軽視  よい農産物とは、お客がほしがっているものである。そこで生産者が考えるべきことは、その“お客”とは誰かということだ。...

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最も求められていることは量と質の安定である

前回は、消費者が農産物に求め、生産者や流通業者がそれに応えているらしく振る舞っている「おいしい」「栄養価の高い」「安全」とは何かを検証した。このそれぞれは、曖昧、実現不可能、不用意な言葉である。 「いいもの」が通用するのは農業界だけ...

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日本農業の真の産業化は天候への挑戦から

30年ほど前、チェーンストアが勃興してきた時期には、卸、仲卸、市場を介さずに直接取引を行う“中抜き”が、消費者に低価格で販売するための正義のように語られた。しかし最近は、スーパーなどの小売、外食、中食、加工業者などの多くは、あまり直接取引に熱心ではなくなったようだ。それは、農産物供給のリスクを自社で取るのは不利であり、卸、仲卸、市場にリスクを取らせたほうがいいということに気づいたからだろう。...

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